サバイバル日和

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嶋中潤「貌なし」。日本に1万人にいると言われる無戸籍者のあまりにも過酷な人生。結局、子供が犠牲になる・・・。

にんにちは!

また、お初の作家さん、嶋中潤さんの本「貌なし」を読みました。嶋中潤さんの本は、今まで手に取ったことはなかったですが、本のタイトルに、”顔”ではなく、”貌”の漢字を使っているので目をひきました。

ちなみに、”顔”は、目・鼻・口などの顔の正面をさすのに対して、”貌”は、姿や形まで、含めるようです。読後にこの漢字を使ったことに納得しました。

 

貌なし

【内容】突然失踪した父。行方を追う娘は、父が25年前の殺人事件の法廷で、被告に有利な証言をしていた事実を知る。真相を求めて父の過去をたどる娘は、「無戸籍」という不条理な境遇に生まれた彼の、あまりにも過酷で無慈悲な人生に向き合う。

 

重いテーマですが、殺人事件の真相究明や、家族愛も描かれており、飽きずに一気読みでした。大満足な1冊です。

 

無戸籍者になる理由は、いくつかあるようですが、最も多く、法律の改定が求められているのは、明法772条のようです。

離婚後300日問題とも言われおり、離婚が成立してから、300日以内に産まれた子供は、前夫の戸籍に入る(前夫の認知が)必要で、心情的に前夫に協力を求めたくない場合や、そもそも協力を得る事すらできない場合に、母親が出生届を提出しないために、無戸籍の子が生まれているようです。

民法772条は、明治時代につくられた法律です。それが未だに改定されずに、無戸籍の子供が生まれ続ける日本は、外見は進んだ国かもしれないですが、明らかに発展途上国です。

失踪した父親が、少年期を思い出す場面で、市役所に母と二人で訪れ、戸籍を作ってくれと懇願した時の窓口の対応は、ありそうで、怖いです...

 

「出生証明書を裁判所の書類と一緒に提出してください」

「だから、裁判所の書類は準備できません。そう説明しているじゃないですか」

「であれば申し訳ありません。ご希望に添えません」

「どうして?この子は日本人なのよ?」

「法の下では、息子さんは日本人ではありません」

「日本人じゃない?」

「残念ですが」

「それじゃ、何、この子は何なの?」

「・・・存在していないので、お答えのしようがありません」

・・・。

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